資産と聞くと、個人であれ会社の事業主であれ、貯金や土地などの財産を思い浮かべるのではないでしょうか。
もちろん、それは間違いではありませんが、会計上や簿記上での資産、また財産との違いなどの色々な側面から資産について豆知識をお話しさせていただきます。
そもそも資産とは、個人であれ事業主であれ、貯金として蓄えている現金だけではなく、お金に換金できる財産の事をいいます。つまり個人や事業主が所有する財産全体を指します。
資産は、大きく3つに分けることができます。
一年以内に現金または費用にすることが出来るものを指します。当座資産・棚卸資産・その他流動資産に分けられます。
当座資産 | 現金・預金・受取手形・有価証券・売掛金 |
棚卸資産 | 商品・原材料・仕掛品・製品 |
その他流動資産 | 前渡金・前払金・未収収益・短期貸付金 |
字が表す通り、流動資産とは、流れ動く資産です。つまり増えたり減ったりの変動が大きな資産という事になります。
固定資産とは、これだけで記事が一つ出来てしまうほどの説明が必要となってしまいそうですが、今回は、ごくごく簡単に説明させていただきます。
流動資産にたいして、やはり字の表すごとく固定された、安定している財産をさします。また企業が販売目的ではなく長期に渡って所有し使用する財産を指します。
固定資産は、有形固定資産・無形固定資産・繰延資産に分けられます。
目に見える資産であり、長期に渡って保有するもの。
建 物 | 店舗・工場・事務所・本社ビルなど |
構築物 | 建物以外の建造物や土木設備など |
機械装置 | 遊園地の設備、製品を作る機械など |
車両運搬具 | 自転車・自動車・フォークリフトなど |
工 具 | 加工や工事に用いる道具、検査工具・切削工具など |
器具・備品 | パソコンやコピー機などの事務機器・机・冷蔵庫・家具など |
土 地 | 工場、店舗、事務所、本社ビルなどが建っている所有している土地 |
リース資産 | 購入するのと変わらないコストを負担しているなど一定の条件を満たしているものは、リースであっても資産とみなされます。 |
建設仮勘定 | 完成の有形資産であり、工事や製造が完了する前に支払った代金を指します。完成すると別の勘定科目に振り分けられます。 |
目に見えない資産であり、長期に渡って保有するもの。
営業権 | のれん |
借地権 | 地代を払って他人から土地を借りる権利 |
ソフトウエア | コンピューターのプログラムなど |
特許権 | 特許を受けた発明を一定期間独占的に権利者が実施する事が出来る権利 |
商標権 | 他社と区別をするために自社独自の文字、記号、マークなどを独占的に使用できる権利 |
字の通りにいくと、そのままではありますが、繰り延べられた資産をさします。かなり理解に苦しむ言葉ですよね。おおまかに言うと、本来は“費用”なのですが、“資産”として繰り延べられる“財産”を指します。特殊なものなので、以下5つのみが繰延資産となります。
創立費 | 登記代など会社を設立するために要した費用 |
開業費 | 広告宣伝費・家賃など、会社設立後、営業開始までに支出した開業準備のための費用 |
社債発行費 | ― |
株式交付費 | ― |
開発費 | 新資源の開発、新市場の開拓などのために特別に支出した費用 |
国語辞典で調べてみました。資産は資本として持っている財産。土地・家屋・金銭。財産は自分自身が蓄積したり、親などから譲り受けた金銭、またはそれと等価値を有する土地・家屋・宝石など。広義では、文化遺産をも含む。そして例文として、健康とは親からもらった唯一の財産だ。とありました。
筆者は、その一文で、財産とは、もちろん土地・家屋・金銭ではありますが、信用・スキル・人脈など形にはない、目には見えないけれども資産を生み出す大きな大きな財産であると思います。
会計上での財産は、固定資産や有価証券など、それ自体を売却することで資金に換金できるものと、現金や預金など支払い手段のことを言います。また財産には、積極財産と消極財産があります。会計上では、積極財産=資産。消極財産=負債。となります。
個人の資産は、預貯金・土地・車・家屋、また株式投資、終身保険など金融資産などの合計を資産と称します。
個人の資産と異なり、会社の資産には1であげたように流動資産・固定資産・繰延資産などが含まれます。会社、企業においては、商品の生産と生産するための仕入れの費用が生じるためです。
資産は、持っているだけでは増えません。様々な資産運用がありますが、ほんの一部をご紹介させていただきます。
銀行などへの預け入れです。元本は保証されますが、金利はほぼないものとどうぜんです。しかしながらリスクはほとんどありません。
金利は日本国内よりも高いです。ただ、手数料が高く、元本割れのリスクもあります。
少額の資金からスタートできます。市場が落ち込む、例えばリーマンショックのような事が発生した場合、大きな損失が出る事があります。
株式を有する事で、配当金を得る事ができます。また株式優待制度などを受けられ、売買のタイミングによって、大きな利益を得ることが出来ます。しかしながら、株主になっている会社が倒産してしまった場合、株式は紙くずとなります。また必ずしも利益を上げられるという保証はありません。
家賃収入といる毎月安定した収入を得られる。インフレ対策になる。しかしながら、築年数の経過によって物件の価値は低下します。
外貨預金にくらべて手数料は格段に安いです。また大きな利益も狙えます。
しかしながら、一定額の損失が発生すると、ロスカットでリスクを軽減できますが、急激な為替変動が起きた時、非常に膨大な損失をうけることになります。
少額の資金で大きな取引ができます。しかしながら少額の資金で大きな取引が出来るレバレッジは損失の拡大にも大きく働き、膨大な取り返しのつかない損失を招くこともあります。
ほんの一部の資産運用方法ですが、ハイリスク・ローリスク・ハイリターン・ローリターンと色々な長所、短所を有しています。何よりも、ご自身の目的にあった資産運用をよく考え見つけることが基本です。
会計上での資産、そして財産のお話をさせていただきましたが、令和という新時代を迎えた日本。
もちろん目に見える土地・金銭は、生活を送るために必要なものでありますが、豊かな生活をみなが送っていくには、目には見えない、けれども確実に資産を生み出していくであろう人脈・スキル・経験・信用・健康などを大切にしていける日本である事を望まずにはいられません。
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