税金の額は、(売上ー経費)×税率で決まります。「仕事の打合せを喫茶店でお茶を飲みながら話した」、「取材をする為、車で長野へ行った」など、支払いの仕訳に悩む事が多い方は多いのではないでしょうか。
経費として計上出来るものが多いほど税額は抑えることができます。しかしながら、全ての支払が経費となるわけでありません。経費は、売上に直接つながる費用でなければならないからです。
経費にならないものまで経費として計上してしまうと、税務署からペナルティーを科せられることも有ります。
そんな税額を抑えられる作用とむやみに計上してしまうとペナルティーにもなりかねない経費。まずは、経費を知り、経費との上手なお付き合いをしていく方法を見つけて行きましょう。
「経費で落とす」「経費で処理をする」などと言った言葉を良く耳にすると思います。これは、文房具を購入したり、取引先の人とお酒の席を設け打合せをしたりした時の費用を経費として処理をすることと言う意味です。
経費とは、会社を経営して行く上、事業を行うために使う費用の事を言います。そしてあくまで良識・常識の範囲内で計上されたものが経費として認められます。
〔 ① 減価償却 〕
資産に計上した固定資産は、その耐用年数の期間経費として処理して行きます。耐用年数は法令によって定められています。
〔 ② 接待交際費 〕
会議や打合せ、また打上げなどと言った取引先との会食、また仕事の関係者の冠婚葬祭で渡すお祝金や香典などです。しかしながら、接待交際費に関しては不正が多く、税務署のチェックが厳しい傾向が見られます。良識・常識のある範囲内での計上を心がけましょう。
〔 ③ 旅費交通費 〕
電車・バス・タクシー代・宿泊費が該当します。こちらもプライベートと混合されやすので、打合せの日付と連動出来る証明が出来るようにしましょう。Pasmoなどの電子マネーの履歴を使うのもよいでしょう。
〔 ④ 給料賃金 〕
従業員への給与・賃金・賞与、また役務に対する報酬が該当します。ただし、親族への給与には一定の要件を満たさないと必要経費とはなりません。
〔 ⑤ 水道光熱費 〕
水道料・ガス代・電気代が該当します。自宅を事務所としている場合、事業に対して使っている割合分が経費として計上出来ます。
〔 ⑥ 通信費 〕
電話代・切手代・携帯電話料金・プロバイダ料・郵送料が該当します。プライベートと兼用している場合、電話代については通話料で按分しましょう。
〔 ⑦ 新聞図書費 〕
事業を行う上で、必要な資料である雑誌や書籍及び有料のメールマガジンなどが該当します。
〔 ⑧ 消耗品費 〕
取得金額が10万円未満で耐用年数1年未満のものは、パソコンなどであっても消耗品費とすることができます。また青色申告者である場合、申告書に必要事項を記載すれば、取得金額30万円未満の資産まで経費として計上することが出来ます。
〔 ⑨ 地代家賃 〕
事務所や店舗、工場、駐車場など、事業に関して支払う家賃や使用料が該当します。
〔 ⑩ 法定福利 〕
従業員が5名以上いる場合、社会保険に加入しなければなりません。その場合、従業員の健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・労災保険料・雇用保険料などの会社負担分が該当します。
〔 ⑪ 保険料 〕
自動車保険料、損害保険料、地震保険料などが該当します。
〔 ⑫ 修繕費 〕
資産、機械装置、器具、また建物などの維持管理費や修理の費用が該当します。
〔 ⑬ 荷造運賃 〕
荷造運送費、発送費、梱包費が該当します。
〔 ⑭ 租税公課 〕
事業税・固定資産税・自動車税・不動産取得税・印紙税・消費税が該当します。尚、所得税・相続税・住民税・違反金などは該当しません。
〔 ⑮ 外注工賃 〕
外部の業者に仕事を発注した際に支払う手間賃や下請け賃料は、経費となります。
〔 ⑯ 支払手数料 〕
販売手数料・振込手数料・仲介手数料・代引き手数料が該当します。
〔 ⑰ 未償却の繰延資産 〕
開業費・創立費・社債発行費などの未償却のものが該当します。
〔 ⑱ 広告宣伝費 〕
会社・商品などを広く売込む為の広告や宣伝にかかわる費用です。
経費の定義は、会社経営において、事業に係わる費用の事を言うです。簡単に言うと経費にならないものとは、事業に係わらない費用と言う事になります。
つまりプライベートにおける日常品の購入、趣味の道具、友達との飲食などは、経費としては計上することができません。また、法人税・法人事業税・法人住民税は、義務としての納税となるので経費として計上はされません。
経費として証明するためには、以下の証明書類を残しておきましょう。
冠婚葬祭に関してのお祝金・お香典には領収書やレシート、請求書などがありません。その場合、出金伝票を記入しましょう。お香典の場合、会葬のお礼書面などを一緒に添付しておくとよいでしょう。
これらの証明書類の保存期間は、青色申告者であれば、基本的に7年間、白色申告者に関しては5年間となっています。
本来納めるべき税額を納めていないと税務署に判断されると、いかなるペナルティーが科せられるのでしょうか。
〔 ① 無申告加算税 〕
納付すべき税額をきちんと納税していない場合のペナルティーです。正しい税額のうち50万円までは15%、50万円を超える場合は20%加算されます。
〔 ② 過少申告加算税 〕
納めるべき税額より少ない額で申告した場合のペナルティーです。正しい税額のうち未納分に10%加算されます。
〔 ③ 不納付加算税 〕
源泉徴収額の徴収額について納期限までに完納されない場合のペナルティーです。未納分に10%加算されます。
〔 ④ 重加算税 〕
過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税が発生した際に、偽装隠蔽を行った場合のペナルティーです。それぞれ35%以上の加算がされます。
この様なペナルティーを科せられると、銀行からの融資へも影響が及びます。
1年間の売上が2,000万円あり、その利益が200万円ある会社があるとします。その会社が1年間、なにも経費を使わなかったとします。すると、税金は利益に対して発生しますので、利益200万円×税率40%=法人税80万円となります。
つまり会社には現金が120万円残る事になります。
もし、その会社が経費として、10万円のパソコンを2台購入したとします。「利益200万円ー20万円=180万円」利益は180万円に減ります。「利益180万円×税率40%=法人税72万円」利益は減りましたが、税金は減額になり、資産は増えます。
この様に経費と賢く上手に付き合うことにより、節税ができ、資産を増やすことができます。もちろん経費の使いすぎは厳禁です。しかしながら、上手に賢く経費を利用して行くことは大切な事であると言えるでしょう。
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